医師の転職について
制度が変わっただけでなく、民間病院でも医師としてのキャリアを十分に積めるようになったこと。
また社会の変化により医師としてのキャリアだけでなく、自分自身の生き方、働き方というのを考えることが出来るようになってきたこと。
さらにIT技術の発展に伴い、医師としての様々な働き方や考え方などの情報に触れる機会が増えてきたことも要因でしょう。
しかし、とは言っても医師の世界は狭く、依然医局の影響力が残るところもあるため、安易に転職しようとすると後で後悔するケースもあります。
退職交渉がうまくいかず、心身ともに疲弊してしまった
転職が決まっていたのに、教授の圧力がかかり転職できなくなった
転職後に変な噂が流され、その地域で働くことが難しくなった
笑えないですが本当の話で、こういった話は依然よく耳にします。
だからこそ、転職を考える医師には今の状況、効率的かつ効果的に進める転職活動のノウハウを知っていただきたいと考えています。当サイトは医師専門の転職をサポートしてきた現役・旧転職エージェントにより制作しており、当サイト厳選の転職サイト(転職エージェント)もランキングで紹介しています。
医師転職サイトの上手な使い方
現在、国内で医師求人を取り扱う人材紹介会社(転職エージェント)は約300社あると言われています。
昔は医師の転職であれば、医局の紹介もしくは知人の紹介などで転職するケースが多かったものの、2004年度から開始された新たな臨床研修医制度によって、医師が研修先を選べることになったことから、医局経由での転職というのは徐々に減少し、反対に人材紹介や転職サイト、転職エージェントを利用して転職する医師、また医師を採用する医療機関が年々増加してきました。
そのため、今後、医師の転職及び医療機関の医師採用どちらにしても転職サイト・転職エージェントのニーズはますます高くなっていくはずです。事実、人材紹介会社(転職エージェント)は年々増加しています。。
では、全国で増えている転職サイト(エージェント)のうち、どこを選べばいいか?転職サイト(エージェント)として多くの医師の転職に携わってきた筆者が考える転職サイト(エージェント)を選ぶべき最初の2つのポイントは、
- 転職を考えている地域に営業拠点があるかどうか?
- 求人数が多いかどうか?
転職を考えている地域に営業拠点があるかどうか?
まず、一番大切なのは求人を獲得できる転職サイト(エージェント)の求人獲得力、そしてより良い転職を実現させるため、また病院にとってニーズに合う医師を紹介するための情報収集力。
この2つの力を持っているエージェントに登録しないと、せっかく登録しても良い転職は実現できません。
そのためには転職サイト(エージェント)が県単位でなくても、北海道・北陸・関東・中部・関西・中国・四国・九州といった地域別に営業拠点を置き、エージェント自らがその地域の病院の内部状況や求人情報・採用の背景などを知っておきたいところ。
特に医局や教授の影響力についての情報収集力は絶対に必要です。関東圏での転職であれば、全国展開している転職サイト(エージェント)の多くが、本社もしくは営業拠点を持っているためそこまで問題ないものの、関東圏以外であれば、全国展開しているかどうかは是非チェックしておきたいところです。
私がこの条件を最初に掲げたのは、これは新型コロナウイルスにより、医師の転職条件が変わってきたこともあります。新型コロナで医師の転職条件が変わってきたでもお伝えしましたが、これまで大学病院や医局人事の影響、人間関係の煩わしさを考え、大学病院などで勤務していた医師が転職する場合、医局の影響が少ない遠方の医療機関を選ぶケースが多かったのが、新型コロナの感染リスクや家族の反対などにより、例え医局や人間関係などがあっても近隣地域での転職を考える医師が増えてきているからです。
近隣地域での転職を考えた場合、知り合いの医師などからの情報、また同じ医療業界にいる以上は多少なりとも転職を考える医療機関の情報は入ってきたとしても、どんなスタッフがいるのか、働きやすさはどうか、離職率はどのような感じなのか、なぜ今回募集されているのかといった細かな情報や肌感覚的な情報まで得るのはなかなか難しいものです。
こういった求人票に載らない情報が転職の際は意外に大切だったりします。そういった情報を転職サイトを運営するエージェントが持っているかどうかが大切なのです。また、こういった求人に載らない情報というのは、転職サイトを運営するエージェントが実際に医療機関に足を運んだり、採用担当者や病院長などと細かな面談を行っていないと把握できないものでもあります。
転職というのは自分の人生が大きく変わるタイミングでもあります。ただ求人に載っている給料や勤務日数・時間だけの条件だけで、自分の人生を委ねるのはあまりにもリスクが大きいもの。だからこそ、採用を考えている医療機関との関係性がしっかりできている転職サイトを使った方がいいのです。
もちろん全国展開している転職サイト(転職エージェント)でも、エムスリーキャリアエージェントのように、東京だけにしか拠点がないにもかかわらず、全国の求人を取り扱い、また医療機関の情報を多く持っている転職サイト(転職エージェント)もあります。
エムスリーキャリアエージェントは、拠点は東京のみですが、そもそも医療関係者の多くが利用するエムスリーグループのため、例外的に利用できる転職エージェントとして考えておいていいでしょう。
求人数が多いかどうか?
求人が無ければそもそも応募することもできないわけですから、当然と言えば当然なのですが、転職サイト(エージェント)の多くの求人はライバル企業に取られないように非公開となっていることも多く、各社で求人数の差が大きくなっています。
選択肢は大いに越したことないため、求人数が多いかどうかは営業拠点同様にチェックしておきたいところ。
また地域密着型で全国展開していない地場の転職サイト(エージェント)というのもあります。地域に根差している分、その地域の情報収集はそれなりに出来ているようですが、地域密着型だとエージェントで働く社員数が少ないため、転職支援を申し込んでも担当不在で相談が出来なかったり、また転職のノウハウ・全国や他地域と比べた情報といった点で全国展開しているエージェントに劣ることもあります。また限られた数の医療機関の情報はかなり詳しくても、その地域全体となると、そこまで把握できている所は少なく、求人もそこまで多くなかったりします。
そのため、医師が転職を考えるのであれば、まずは「全国に営業拠点を持つ、求人数が多い転職サイト(エージェント)」を最初の選択としたほうがいいでしょう。
転職エージェントと上手に付き合うコツ
転職エージェントの選び方がわかったら、次は転職活動を効率的に進めるために、転職エージェントと上手に付き合うコツをお伝えします。
複数申し込むべき理由
- 同じ求人でも転職サイトによって給料などの条件が異なる時がある。
- 複数登録することで幅広く求人を見ることができる
転職サイト(エージェント)によっては、A社にある求人がB社にはない。また、その反対もあったりします。さらにエージェントの力量によって給料等の条件の引き出し方が異なったりするため、申し込むときは最低でも3社は選んでおくようにしましょう。特に今は新型コロナの影響で転職サイトごとの力量に大きな差が出ています。3社の申し込みは必須と考えておいた方が良く、それだけでかなり可能性が広がると認識しておいていただきたいものです。
転職サイト(エージェント)に申し込むと、転職をサポートしてくれる担当者(エージェント)がつきます。複数の転職サイトに登録した場合、希望条件や転職理由などそれぞれの担当者に説明しなくてはならず、最初は時間がかかり面倒ではありますが、自分の今後の人生がかかった大事な局面でもあるため、面倒であってもしっかり対応するようにしましょう。予め自分なりに希望条件や転職理由などを整理し、まとめておくと面談もスムーズに進めやすくなります。
先ほども記載しましたが、転職サイト(エージェント)に申し込むと、転職をサポートしてくれる担当者(エージェント)がつきます。相手も人間ですから相性もあり、合う担当者もいれば合わない担当者もいたりします。また担当者によっては知識や経験の差というのももちろんあります。女性医師の場合、やはり同じ女性として理解してくれる同性の担当者が良いというのもあるでしょう。そういったときは、遠慮なく担当を変えてもらうことです。
「転職が初めてなので、経験が豊富な人が良い」
「性格的に押しの強い人が苦手」
「家庭の事などに理解がある女性担当者がいい」
など、相手に悪いと思うかもしれませんが、担当者も仕事ですし、何より企業側もその点は理解しています。反対に担当変更の申し入れをしても変えてもらえないのであれば、そういった企業だと思って別の転職サイト(エージェント)を利用することも検討していいでしょう。
求人には給料だったり勤務地だったり、勤務時間、日数、当直の有無など様々な条件が記載されています。さらにたくさんの求人を見比べていくことになるため、あれもこれもと目が移りがちになってしまいます。また他にも求人に載っていない病院の雰囲気や人間関係などの情報も担当者から聞くことだってできます。
「少しでも条件の転職先に行きたい」という気持ちは十分理解できますが、あれもこれもと考えていると、いつまでも転職活動を始められず、下手すると比較的良い条件の求人は採用が決まってしまい、応募もできないなんてことも出てきます。そして、あれもこれもと考えるタイプは医師に限らず、多くが転職を失敗しがちです。
何が不満で、何を目的に今の勤務先を退職しようとしているのか、自分なりに整理し、その不満を解消できそうな転職先、目的を達成できそうな転職先を選ぶことが転職エージェントと上手に付き合うだけでなく、良い転職の近道になったりするのです。
あわせて読んでおきたい記事→医師が転職前に準備すべきこと
Aの転職サイト(エージェント)にある求人が、Bの転職サイト(エージェント)にはない、なんてこともあります。
また、転職サイト(エージェント)によって給与条件が異なるなんてこともあります。さらに、担当者の力量の違いや相性というのも正直あります。
転職は自分自身の今後のキャリアや生活、人生が掛かった重要な局面です。
希望条件に合う求人を持つ転職サイトに登録していないばかりに、他の医師に獲られて・・・なんてことにならないように最低でも3つの転職サイトには登録するようにしましょう。
「今すぐ転職するわけではないから・・」と登録を躊躇してしまいがちですが、転職サイト(転職エージェント)はその辺の事情も理解したうえでサポートしてくれます。
もし登録をためらっている間に希望にピッタリ当てはまる、もしくはそれ以上の求人が出てきたら・・・もったいないですよね?転職を考えているのであれば、今すぐでなくても、とりあえず登録して希望に合致する求人が出てくるまで待つというのも効果的な転職を実現させる方法の一つです。
特に新型コロナで医師の転職条件が変わってきたにもあるように新型コロナの影響、そして「地域医療構想」により医療機関の統廃合は今後益々進み、医師として活躍できる場も変わってきます。しかも医師の転職活動は、他の業界と比べやや長期的になりがちです。半年〜1年かけて転職を実現させる医師もいれば、2〜3年くらい時間をかけて転職する医師もいます。
転職を考えようと思った時には、慌てて動き始めるのではなく、余裕をもって「早すぎるかな」思うくらいから動き始めるくらいがちょうど良かったりするものです。
転職サイトに登録すると、転職エージェントから連絡があり、まずは空いてる時間に会ったり、電話などで面談を行います。
医師の転職は数カ月で転職を考える会社員と違って、もう少し長い期間で考えていくものですが、とは言え良い求人が出てくれば、応募も殺到するため、その求人はすぐになくなります。特に今は新型コロナの影響で転職を考える医師は大幅に増えており、良い求人にはこれまで以上に応募が殺到することでしょう。
今すぐでなくても、とりあえずどういった求人があるか、また転職を考えるにあたってどういった準備が必要か知っておくだけでも、いざ転職活動を始める段階で差が出てくるのです。
申し込んだら出来るだけ早く、まずは話を聞くようにしましょう。
医療の現場は一般企業とは異なり、非常勤での勤務も普通に見られます。
そのためスポット勤務の非常勤求人だったり、またはアルバイト求人も非常に多くあります。(新型コロナの影響で非常勤求人やアルバイト求人は減少傾向にあります)
隣接県や勤務する医局の影響が及ばない地域のアルバイト・スポット求人を利用し、その地域の情報を肌で感じるも良いでしょうし、また転職が決まった後に次の勤務が始まるまでの間、こういったスポットやアルバイトの求人を利用することもできます。実際に非常勤やスポットで働きながら、雰囲気や人間関係を観察し、それから常勤に代わっていくことだってできるのです。
とにかく常勤・非常勤問わず求人を豊富に持つのが医師専門の転職サイトです。
ぜひ効果的に使いましょう。
医師専門の転職サイトに登録してから
登録後、まずは転職を手伝ってくれるパートナーでもある転職エージェントとの面談があります。
※時間や現在の勤務地によっては電話での面談となる場合もあります。
ここで、転職サイトを上手に使えるか、転職エージェントとの信頼関係が築けるか大きく分かれます。ここで必要なのは「何のために転職するのか」ということをしっかりとエージェント側に伝えることです。
医師が転職前に準備すべきことであれば、最も優先順位の高い「不満」、2番目に高い「不満」をエージェントに伝えることで、より希望の条件に合致し、「不満」を解消する求人を手に入れることができるのです。
転職サイト(エージェント)も色々な求人を紹介してくれます。中には希望の求人もあるかもしれませんし、全く見当違いな求人が紹介されるなんてこともあるかもしれません。他にも話をする中で、全く気付かなかった可能性や求人を提案をしてくることだってあります。
そして、より良い転職を実現させるために最も大事なのは、
「何のために転職するのか」という「転職の軸」にあたる部分を明確にしないままに転職活動を始める医師は意外に多く、だいたいそういった医師の転職活動は長期化します。また転職できたとしても、間もなく再度転職を検討するといったケースが散見されます。
どうしても求人を見たときに、「給料も良い」「こっちは勤務形態が良い」「こっちは当直がない」と目移りしてしまい、いつまでも決め切れないばかりか、活動を始めること自体に二の足を踏み始めます。そして「あれもこれも」を満たすめったに出てこない求人を待ってしまうためです。
エージェントと話をする前に、「何のために転職するのか」という軸を整理しておくと、エージェントとしても「何が問題で転職しようとしているのか」「どういった求人であれば、よりよい今後のキャリア形成、プライベートの充実を実現できるか」を問題意識をもってエージェント側も動くことが出来ます。
それだけでも希望とする職場への転職、転職活動の成功率は大きく上昇します。
診療や論文等でなかなか時間も取りにくいかもしれませんが、何度も転職せずに医師としてのキャリアを形成していけるよう、事前の準備をしっかりと行うようにしてください。
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