今後13万人の産業医が必要

もともとは高度経済成長期の日本において、製造業で働く労働者の安全、健康を守ることをメインに整えられてきた産業医制度。

 

 

時代も移り変わり、今では製造業などの業界に限らず、あらゆる産業・業種の職場において、過度の労働による自殺や過労死がニュースで流れています。

 

厚生労働省によると、2016年度の精神障害での労災申請は過去最多となる1586件で、これは10年前の約2倍弱(『過労死等の労災補償状況』より)。

 

このような現状から、昔のような過重な労働を是とすることはなくなり、国を挙げての「働き方改革」が進められています。

 

健康経営への注目が高まりつつある中、産業医のニーズは今後大きく高まっていくことでしょう。

 

また産業医への役割も徐々に変わって起きています。

 

産業医の役割は、職場巡視や企業での健康診断の実施、衛生委員会への参加など、企業の中での産業医の役割は従業員の健康を守るだけでなく、必要があれば事業者に対し、勧告を行うことです(労働安全衛生法13条3項、4項)。

 

さらに2015年12月にはストレスチェック制度が施行されました。年1回従業員のストレスチェック状況を調査し、本人へのアラートおよび職場の環境改善に繋げることを事業者に義務付けたこの制度は、産業医によるストレスチェックの企画や結果の評価、職場改善などが業務として求められるようになりました。

 

また、あわせて昨今、産業医の業務で注目されているのが「健康経営」です。

 

経済産業省が実施している「健康経営優良法人認定制度」では、採用活動や株価へもいい影響があるとうたわれており、産業医や保健師による健康保持・増進の立案・検討などによって、従業員の生産性向上にもつながると言われています。実際にこれを機に産業医を採用する企業が大手を中心に出てき始めました。

 

しかし、現在、厚生労働省によると産業医の養成研修・講習を修了した医師は全国に約9万人いるのに対し、実働しているのは3万人程度です。

 

これまで産業医は本業の医療機関での診療の合間に非常勤やスポットで勤務するとのイメージを持つ医師が依然多く、実働していない医師約6万人の多くが「本業(診療)が多忙で時間・余裕がない」との回答を占めている状況です(日本医師会 『産業医活動に対するアンケート調査』より)。

 

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産業医が必要な職場は16万以上

 

徐々に産業医の必要性が医師や経営者、国でも理解が深まりつつあり、今後、産業医の求人も増加していくものと思われますが、現時点で実働している産業医が3万人に対し、産業医が必要な職場は16万以上といわれています。

 

つまり、13万人以上の産業医が不足している状況なのです。

 

今すぐ13万人の産業医が必要とされているのではなく、今後、産業医に対する認知度や理解度が変わり、徐々に産業医のニーズが高くなってくるものと思われますが、医師の世界でも過重労働が問題になっている中、産業医としての働き方は、今後の医師の働き方にも大きな影響を及ぼしていくのではないかと考えられています。

 

特に子育て中の女性医師や家族との時間を増やしたいと考えている医師、50代〜60代と徐々に体力も落ち、夜勤や当直の回数を減らしたい、もう少しゆっくりとしたペースで働きたいと考える医師にとっては非常におススメの働き方です。

 

もし産業医としての講習を受けていなければ、今のうちに受講・修了しておけば、産業医のニーズの高まりは始まったばかりなだけに、早めに経験を積み、これから増える産業医の採用を考える企業に対し、コンサルティングなどのビジネスチャンスも生まれてくることでしょう。