医師が転職前に準備すべきこと
転職活動に必要な期間は最低3か月
転職活動に必要な期間はどれくらいかというと、概ね半年程度と考える医師が多いようですが、実際にはもう少し時間がかかっています。
半年というのは、転職を考え、転職サイトや転職エージェントへのサービス申込。次にエージェントとの相談や求人の提案。そして他にも面接、条件交渉と退職交渉、引継ぎまでを考えると、これくらいの期間は最低で必要とされる期間です。
もう少し余裕をもって長めに考えておいてもいいくらいでしょう。スムーズに進んで半年、平均的には半年から1年かけて次の職場に移るケースが殆どです。
上記の表は転職サイト(転職エージェント)への登録から転職活動を終えるまでの期間を、一般的な活動期間に合わせて分けたものです。
転職を考えるにあたり、希望の条件の整理や転職市場の動向の把握、サポートをしてもらうエージェントとの情報共有、求人の選定などを考えると、やはり活動を始めてから転職先に移るまでは3か月(90日)はかかると考えておいていいでしょう。
専門性が高い医師やそれなりのポジションで働いていた医師に関しては、引継ぎなどで転職先に移るまで、もっと長い期間が必要となる場合もあります。
そのため転職を考えるのであれば、それなりの準備期間を考慮したうえで進めていくようにしましょう。
転職活動前に医師が考えておくべきこと
年収をアップさせたい
当直を減らしたい・休みを増やしたい
専門分野の知識や技術を身につけたい、症例数を増やしたい
医局や職場の人間関係から解放されたい
子ども・家族のためにプライベートの時間を確保したい
地方に派遣されそう
休みを使ってアルバイトをしたい
転職を考えるきっかけとしては、上記のようなものが多くありますが、転職活動前に考えておいてほしいのが、「なぜ転職するのか?」「転職後、どのようなキャリア・人生を過ごすか?」ということです。
細かな条件等は転職活動を始めてからエージェントと相談しつつ進めるとしても、「なぜ転職するのか?」「転職後、どのようなキャリア・人生を過ごすか?」を明確にしておかないと、転職活動を始めた時に給料や勤務地、勤務時間などあらゆる条件に目移りしてしまい、どの求人を見ても「あれもいい」「これもいい」となってしまいます。
転職するということは、今の環境に何かしらの不満や問題があり、それを解消するための活動となります。「不満を解消する」という、転職の軸が明確にしておくことで現在抱えている不満や問題を解消するための活動ができるわけで、他の条件等に目移りすることもなくなります。
まずは転職活動の軸というものを明確にし、転職活動を始めるようにしましょう。
ここでは、上記の7つから最も多い「年収」と当直・休みといった「労働環境」を例に、転職活動の軸を明確にしていきたいと思います。
まず1つめの「年収」。医局で働く医師が転職を考えるときに最も多い不満がこの年収です。せっかく収入が良いといわれる医師になったにもかかわらず、医局にいると民間で働く医師と比べ給料が安い、年収が低いといった話もよく聞きます。特に子育て世代であれば、子供の教育費などを考えると少しでも年収を上げて所得を増やしたいところではないでしょうか?(「気になる医師の年収」に、毎年厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」を掲載しています。都道府県別での医師の平均年収がどれくらいかお分かりいただけます。)
現在の収入や今後必要となる費用(生活費や子供の学費等の養育費など)を考え、どれくらいの給与条件の求人を求めるのか考えておきましょう。
次に「当直」「休み」といった労働環境について。医師は年収は確かに高いものの、患者さん相手の仕事である以上、どうしても勤務時間も長くなりがちです。症例や治療法について調べたりということになれば、勤務時間外であっても仕事に時間が取られてしまいます。
さらに家族がある女性医師であれば、子どもの教育、家族のために時間を作りたいという人もいるでしょう。
今現在の当直の日数が月にどれくらいなのか?また研究に時間を割きたい、子供や家族のために時間を割きたいと考えるのであれば、何時まで働けるのか、週にどれくらいなら働けるのかを考えておく必要があります。
しかし、いざ転職活動を始めてみると、数多く寄せられる求人を見ていくうちに、あれも気になる。これも気になる・・となってしまいがちです。求人には「給与条件」「労働時間」「休み」といった条件以外にも様々なことが記載されています。求人に色々な条件が記載されていれば、どうしても目移りしてしまいます。仕方ないといえば仕方ないのですが、あれもこれもと考えていると、大抵の転職活動は失敗に終わります。そして軸を明確にせずに転職できたとしても、また転職活動を始めることになりかねません。
転職理由はひとそれぞれ。自分の今の環境や仕事の状況を振り返る
転職理由というのは本当に一人ひとり異なります。
・地元を離れて働いている医師
・結婚して子供がいる医師
・とにかく一つでも多くの症例をこなし、経験を積み上げたいと考えている医師
など、一人ひとりおかれている状況も違えば、年齢や経験も違います。取り巻く環境だって異なります。
だからこそ自分の転職理由は何なのか、今の環境や仕事の状況などを振り返り、「なぜ(自分は)転職するのか」を考えておく必要があるのです。
もちろん「給与」「休み」「勤務時間」「症例数」・・など、色々転職を考えるにあたり、気になる条件というのがいくつか出てくることもあるかもしれません。それはそれで構いませんが、全ての不満を解消出来るようなパーフェクトな求人というのはなかなか出てこないものです。
また出てきたとしても、そういった求人は他の医師にとっても魅力的なもの。
すぐに採用が決まってしまうか、競争倍率が高いかのどちらかになりがちです。
そこで、複数の条件を考える必要がある場合は、それぞれの条件で優先順位をつけておくことをおススメします。
優先順位をつけていけば、最も優先順位が高くなるものが今回の転職で解消したい「不満」となり、2番目の条件があわせて解消したい「不満」となります。
だいたい2〜3個程度であれば、うまくいけばそれらを解消できる求人に出会えるはずです。
まとめ
@今の仕事の環境、家族などの取り巻く環境から自分が「なぜ転職しようと思っているのか」、今の何に「不満」を感じているのかを明確にする
A「不満」が複数ある場合、それぞれの「不満」に対し、優先順位をつけておく。
BAでつけた「不満」への優先順位で高いものから解消できる求人かどうかという視点で求人を見ていく。
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